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労務安全について


事故事象の連鎖

災害が発生すると、発生したその時点の状況・状態ばかりに事故原因調査の目がいきがちです。しかし、災害は単一の原因では発生しません。その災害が起きたその日の仕事を時系列に並べてみると、幾つかの不具合や予定外の出来事、作業条件の食い違いなどが、人・物・管理に分けて洗い出しをすることによって明らかになります。それらの不具合や不安全の全てが災害への鎖となって存在していたのです。このことを事故事象の連鎖と呼びます。作業日だけではなかったかもしれません。仕事に関することで、どこか気になることがあったら、放置することなくそこですぐに、その問題を改善・解決してください。そのままにして先に行くことは鎖をつないだことになります。太い鎖もあれば細い鎖もあるでしょう。どれも鎖であることにかわりありません。「よくあること・たいした事ではない」その気持ちが災害発生へと知らずしらずに導いています。必ず断ち切ってしまってください。


ヒヤリ・ハット活動の効果

20年ほど前、NTTからヒヤリ・ハット件数と内容を調査したいので協力して欲しいとの要請があり、NTTの工事だけでなく首都圏全域の作業所で調査を実施したことがありました。事務所に用紙を置き、内容を書いてもらいましたが、事務所に来るのが面倒なのか思うように集まらず、休憩所に用紙を置き、毎朝の朝礼で協力を願いましたところ、一年間でかなりのヒヤリ・ハットがあったことが判明しました。人の行動によるもの、設備の不具合からきたもの、打合せのあいまいさからきたもの。知らないところでこんなにも災害一歩手前が発生していたのかと驚きました。この活動で安全管理が変わったことは、

①打合せ用紙を全業者一表制(全ての業者の打合せ内容を一枚の用紙として、混在作業の状態を明らかにした)
②災害別のチェックリストを作成し、巡視はチェックリストを用いて行う。
③危険予知活動を安全ミーティング報告書に取り入れ、作業者全員からサインをもらい、職員が確認してから作業を開始する。

しかし一番大きな変化は、内容を公開したことで作業員が危険を意識してくれたことでした。また、労働災害は個々の企業でみるとそんなに発生しているわけではありません。従って災害発生傾向から安全施策を求めるにはデータ不足が否めません。そんな時、ヒヤリ・ハット活動から得られた情報は大いに役立つと思われます。作業終了時、職長さんが取りまとめて提出してください。

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