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労務安全について


安全施工サイクルの検証1

ほとんどの建設作業所で行われている「安全施工サイクル」が導入されて既に31年を経過しました。
今回、毎日行われる「安全施工サイクル」が実際にどのように行われているか、
問題となる箇所はないかを検証していきたいと思います。

①朝礼

その日の作業を朝から行う職種の作業員と元請職員にて、行われます。施工サイクルの開始です。
作業前の気持ちから作業にとりかかる切り替えのための集会です。整列をし、点呼(出席したサブコン作業員数の報告)があり、体操が行われ、作業所長等の挨拶があり、元請職員から今日行われる作業の注意事項や、危険箇所の説明があります。
作業所によっては職長が司会という形で進行する場合もあります。
1.整列は整然となっているか?
整列という言葉から、前後左右がまっすぐな状況を思い浮かべますが、なんとなく並んでいる作業所があります。
あまりだらしない並び方は参加する意識が薄い印象を受けます。
これから作業前の指示や注意事項を聞き逃すまいとは思えません。
2.体操がだらけていないか?
ラジオ体操の曲に合わせて体操が行われるわけですが、しっかりと体を動かしている人は少なく、漫然と手足を動かしているに過ぎない作業員を見かけます。
作業に取り掛かる前の準備運動との気持ちが、感じ取れません。
3.安全指示を聞く
元請からの安全指示は、作業所における混在作業の危険性を知るうえで、大変重要な意味を持っています。
下をむいたり、あらぬ方向に目をやらずに指示を聞き逃すまいとの意気込みを持ってください。

②ツールボックスミーティング(TBM)

1.元請指示を伝えているか?
ここから職長と作業員による安全活動が始まります。
職長は元請との間で決まった当日の作業内容と、作業に伴って発生する危険・有害なことに対する元請からの指示事項を、
作業員全員に伝え、理解したことを確認しなければなりません。
たとえ、その内容等が前日と同じだからといって、「昨日と同じように」等との伝達はもってのほかです。
周りの状況は日々変化しているので、「昨日と同じ」等とは決して言わないで、熱意を持って、丁寧に指示を行うよう努めましょう。
2.職長からの指示は的確か?
職長は、当日の作業内容、作業方法、作業手順、配置、に加えて安全の注意事項を指示すると同時に、
作業上必要な調整を行って下さい。
作業員が判断しなければならないようなアイマイな表現はしないよう注意が必要です。

③危険予知活動

1.結果KYになっていないか?
昭和47年頃から建設業に取り入れられた危険予知ですが、当初の危険予知活動への取り組みから、徐々に形だけの危険予知になったと思われるKY活動が多くの作業所で見受けられます。
例えば、高所作業に対して予測される災害は常に「墜落」であり、対策は常に「安全帯使用」となり、運搬作業であれば、「つまずき転倒」であり、「足元注意」となっています。
これでKY活動をしたことになってしまっています。
果たして本当に災害をイメージしたのか、対策を真剣に検討したのか疑わしい危険予知がまかり通っています。
同種作業を何度も繰り返した結果が、あらかじめ決まった回答しかない結果KYのままでは意味がありません。
リスクアセスメントの導入により、多少は刺激された危険予知活動ですが、様々な災害をイメージしなければ、いとも簡単に結果KYに逆戻りするおそれがあります。
2.現地で危険予知を行っているか?
作業の行われる場所で危険予知を行うことのメリットは、災害を具体的にイメージしやすいことにあります。
はなれた場所で危険予知を行った場合は、必要なイメージがつかみにくいものです。
必ず作業場所で危険予知を行ってください。
3.危険予知活動を一日一回で終わらせていないか?
その日の作業が、場所が変わったり、作業そのものが一つでないときなど、危険予知は、その都度行う必要があります。
にもかかわらず一日一回の危険予知で終わらせているグループが存在しています。それで安全といえるでしょうか?
4.危険予知から決定を作業場所に持っていっているか?
よく見かけるのは、朝礼会場に危険予知活動の結果をファイルにいれて掲示している作業所です。
人間は忘れる動物です。
自分たちが作業で何を危険と捕らえ、どんな危険回避をするかを、離れた場所に置くことは、危険予知活動の重要性を認識していないと言わざるを得ません。
是非、作業場所にボードなり、用紙なりを持っていって、いつでも確認できる状態にしてください。

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